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賃貸借契約で無用な紛争を避ける為に

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今までは、賃貸借契約書に「何気なく」記載されていた契約条項ですが、新法の施行や法改正、新たな裁判の結果などにより今までと同じ対応をしているだけで、訴訟に発展する恐れがある事もあります。
今回、お知らせする内容は正に、その見本になりそうな事案です。

 

平成25年10月17日に大阪高裁での判決が確定しました内容が以下です。

 

■破産・後見開始・補佐開始等を理由とする解除権を賃貸人に付与する条項は違法の為、条項の使用停止を求めた訴訟です。

 

◎判決では、消費者契約法第10条に該当し、消費者契約法第12条第3項に基づく差し止めが認められるとしました。

 

賃貸借契約の契約条項に、何気なく昔から掲載されている条文の中に「賃貸借契約の解除等の条件として」契約をした入居者が「破産・後見開始・補佐開始など」の状態が分かった時に、貸主側から賃貸借契約の解除をできるように賃貸借契約の約束事として掲載されていました。

 

賃貸経営をする貸主の立場からすれば、上記の様な「破産のような状況」は決して安心していられる事ではありません。この様な状況を回避する目的のみを考えて、かなり以前から「普通に」掲載されるようになっていました。

 

少し難しい内容が続きましたので、やさしく説明していきたいと思います。賃貸借契約書と言えども、入居者・貸主間で交わされた、いろいろな法律に基づいた正規の契約書です。

 

この契約書と言いますものは、契約する当事者が合意していれば、基本的には「どの様な内容であっても」契約自由の原則がありますので、自由なのです。ただ、この「自由」が曲者です。

 

日本は「法治国家」ですので、この「自由」にも「大きな責任・義務」が伴います。そして、この「大きな責任・義務」の大本になっているものが「法律」です。賃貸住宅の契約という話で、関連する法律は「民法・消費者契約法・宅地建物取引業法、借地借家法など」です。

 

一般の方々は、この「法律」という言葉を聞いただけで、頭が痛くなってしまうかもしれません。ですが、安心して生活する為に決められている「基本的なルール」と思って下さい。

 

当然ですが、法律と言う立場から決められているルールに「依怙贔屓(えこひいき)」はありません。そして、このルールも世の中の移り変わりや法律の改正というタイミングが常に流れています。つまり、一度作られた常識も契約書も「高級普遍」では無いのです。 厄介ではありますが・・・。

 

話を戻しますが、貸主側に有利な先ほどの条文ですが、何が問題なのかと言いますと・・・。

 

※貸主側に一方的に有利な上、入居者の権利侵害にあたる・・・。

 

貸主さんの不安は理解できますが、現在の日本の法制では、破産や倒産と言った事象に陥った方がいたとしても、法律の下で申告・手続きを行う事で、負債や借財から解放されて、一定の制限はあるものの「やり直し」が保証されているのです。

 

それにも拘わらず、賃貸住宅の入居者が「破産などの状況が発生」しただけで「賃貸借契約の解除」を強要される・・・。とんでもなく不利としか言いようがありません。

 

この条文の載り方が「破産などの事例が起きたら直ちに解除」という性格を持っていますので、法律違反と取られかねません。

 

賃貸借契約の状態についていえば、決められた賃料を約束通りに支払う事と、常識の範囲内で良好に住まう事がメインです。

 

入居者さんの身にどの様な事態が発生していたとしても、賃料の滞納や、約束を違えた部屋等の利用、周囲への迷惑行為など全く起こしてもいない場合、賃貸契約上も何の問題も発生していない状態でしかありません。その状況での「賃貸借契約の解除」を突きつける話になってしまうのですね。

 

と、以上のような流れが実際の裁判でも行われたわけです。そして、結果は・・・。冒頭で説明した通り、この条文を載せていた「賃貸借契約」の敗訴、つまり負けという事です。

 

この様な裁判結果は今回が初めてとなります。裁判と言うものは、過去の判例が大きくものを言う側面がありますので、今後、同様の裁判が起きた場合は同じ結果が出やすいです。

 

この流れから、今後の「賃貸借契約」には以上の内容を踏まえて、入居者さんの破産などに基づいての解除を謳う条文は「削除」しましょう。この条文を載せて置くメリット自体が無くなっていますし、デメリットしか有りません。

今まで契約書の「契約条項」などをご覧になった事のない方も、いい機会ですので一度確認して見て下さい。

 

貸主も借主も気持ちよく良い関係を続けたいものです。

部屋を貸したい人、部屋を借りたい人が集まり、コミュニケーションをしているサイトがあります。ウチコミ!と言います。借主さんも貸主さんも一度覗いてみてはいかがでしょうか?

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