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家賃は「相場」「競合」「検索条件」を意識して上手に設定!

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2019/11/18

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画像/123RF

物件の家賃、すなわち賃料をどう決めるか? その答えは、1に「相場」です。物件のある地域の相場を意識すべきことはいうまでもありません。2に「競合」です。条件の似たライバル物件がどんな賃料で募集しているかを知ることは、こちらの賃料を決める上での重要な鍵です。


そのうえで、3があります。それは「検索」を意識することです。いくらの賃料にすれば、不動産ポータルサイトでの検索の結果、有利なポジションに立ちやすいのか。一刻も早い入居者さん獲得のためには、ぜひ、ひと工夫考えておく必要があります。


■キリのよい賃料が有利

まず基本はこれです。サイトの検索条件メニューに合わせた、キリのよい賃料を選んでおくということです。不動産ポータルサイトで賃貸物件を検索する際、通常は誰もが検索条件として、賃料の範囲を指定します。


そこで、2大ポータルサイト「SUUMO」「LIFULL HOME’S」の画面を覗いてみると、指定の基準が5千円単位になっていることがわかります(LIFULL HOME’Sでは10万円以上は1万円単位になります)。


たとえば「7.0万~8.0万」であるとか、「7.5万~8.5万」であるとか、あるいは「下限なし~3.5万」といった範囲の指定が可能となっています。すると、お気づきと思いますが、「7.0万~8.0万」の範囲であれば、検索に上がってくる一番安い物件の賃料は7万円になります。


すなわち、ここでは7万円の物件が、最安値を勝ち取ることになるわけです。または、7万円の物件が複数あれば、最安値に並ぶひとつとなるわけです。一方、7万3千円の物件だとこうは行きません。「7.3万~8.3万」といった指定は、いまのところ出来ないからです。


5千円単位でのキリのよい賃料は、このように一旦は有利に働きます。また、以上のことから、7万1千円であるとか、6万6千円であるとかいった、5千円単位のラインを少し上回るだけの数字も、検索範囲の中の「安値圏」に収まりやすいことがご理解いただけるかと思います。


■総額検索で話は変わってくる

もっとも、以上が話のすべてではありません。ご存知の方も多いと思いますが、「SUUMO」にしても、「LIFULL HOME’S」にしても、いずれも賃料本体のみならず、「共益費(管理費)も合わせた総額」での検索が可能なのです。


なので、そつの無いユーザーは、おそらく最初からこの方法を選ぶでしょう。これにより、話は若干ややこしくなるのです。


ちなみに、方法は簡単です。賃料の範囲を決めたあと、「管理費・共益費込み」の旨表示されたチェックボタンにチェックを入れるだけでOKです。そこで、さきほどの「7.0万~8.0万」の条件はそのままに、これを実際に行ってみると、画面の様子は若干、もしくは大幅に変わってきます。


さきほどは検索条件にかからなかった、


・賃料本体は7万円未満で
・共益費を足すと7~8万円の範囲に収まる
・多くは6万円台後半くらいの物件


が、拾われてくるからです。(逆に総額8万円を超えることで消える物件も生じてきます)すると、こんなかたちが生まれてきます。たとえば、


・賃料(本体)6万8千円
・共益費4千円
・賃料(総額)7万2千円


の物件は、「7.0万~8.0万(総額)」を条件に検索した人の目には、比較的お安い物件として登場することになります。有利といえば有利でしょう。


一方で、「6.0万~7.0万(総額)」を条件に検索した人にとっては、そもそも目に入らない物件ということになります。すなわち、


・この物件はざっと総額6万円台後半が妥当と感じられる物件だ
・7万円台をねらうのは厳しいのでは?


と、いった物件の場合、このことは当然不利に働くはずです。以上が、この件のややこしいところです。


なので、サッと大まかに賃料本体で検索してしまう人を想定するのか。それともソツなく総額検索する人が多いと踏んでおくのか。物件そのものの魅力やスペック等と考え合わせ、思案のしどころです。


■賃料はキリよくが、やっぱり答え?

さて、そこでひとつの答えです。お伝えしてきた中で、すでにお気づきになった方もいらっしゃるかもしれません。結局のところ、賃料本体を意識するにしても、総額にしても、5千円単位のキリのよい賃料はやはり有利と考えられるのです。


現在、上記2大ポータルサイトでの賃料範囲の指定は、繰り返しますが5千円単位となっています。(ただし前述したとおりLIFULL HOME’Sでは10万円以上は1万円単位となります。SUUMOだと20万円からがそうなります)


すると、たとえば7.0万円の物件は、「6.0万~7.0万」を指定しての検索と、「7.0万~8.0万」の検索、いずれの範囲にも入ることになります。6.8万円や7.2万円ではこうはならないのです。


なお、5千円単位での指定という縛りは、賃料本体で検索する場合も、賃料プラス共益費の総額で検索する場合も同様です。同じメニューから選びます。


すなわち、


・賃料(本体)がキリよく〇万円か、〇万5千円
・賃料(総額)がキリよく〇万円か、〇万5千円


の物件は、ユーザーの目に触れるチャンスがより広がりやすいと想像できます。実際に、ある駅でシミュレーションしてみましょう。(SUUMOを使用)


・種別はマンション
・駅徒歩10分以内
・30㎡以上
・築10年以内


以上の物件を「賃料(共益費込みの総額)7.0万~8.0万」で検索してみます。すると、出てきた物件は8件です。このうち2件が、賃料本体と共益費を合わせてちょうど7万円です。


次に、条件を「賃料(同)6.0万~7.0万」に変えてみます。1万円分下げてみたわけです。すると、物件数は一気に2件に減りました。さきほどの「ちょうど7万円」の2件だけが生き残っているわけです。


反面、6万円台の物件が飛び込んでくることはありませんでした。こちらの駅で上記の条件だと、6万円台はなかなか難しいようですね。とはいえ、「ちょうど7万円」の2物件は、この条件でもちゃんと拾ってもらえたわけです。

一方、先に出てきた8件の中には、賃料(総額)7.1万円という惜しい物件もありましたが、それはもちろん消えてなくなっているという次第です。(なお、当記事は、2019年10月初旬時点での「SUUMO」「LIFULL HOME’S」の仕様をもとにしたものです)


(文/朝倉継道 画像/123RF)



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編集部

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