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床のイメージチェンジで

礼金ゼロ物件が「礼金もらえる」物件に変わった!

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2019/09/26

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画像/123RF

近ごろ、賃貸住宅業界のプロの間で時々話題になるのがこれです。「床材が面白くなってきた」。詳しくいうと、素材も柄も、とてもバラエティに富んできました。品質も上がってきました。オーナーの皆さんも、ぜひそのあたりの知識を身につけて、賃貸経営の武器としてください。


床のみをわずか10万円そこそこでリニューアルし、築30年超物件の賃料を見事に維持。礼金をもらうなど夢だった30平米の1Kを「礼金物件」に変えたオーナーさんもいらっしゃいます。


■おばあちゃんの家の床みたい…

ある仲介会社のスタッフから聞いた、最近のエピソードです。物件を内見した若い入居希望者さんがこうおっしゃったそうです。


「このお部屋、築年数の割に古臭い…」


「どの辺りが古く見えますか?」と、スタッフが尋ねると、先方曰く、「床が田舎のおばあちゃんのお家みたい」とのこと。


スタッフは苦笑しながら「やっぱり」と、相槌を打ったそうです。


ちなみに、そのお部屋には、どこにでも見られる茶系の木目柄のフローリングが敷かれていました。表面はテカテカと光沢が目立つタイプです。


すると、「え、賃貸のフローリングって、どれもそんなものなんじゃないの?ほかに種類があるの?」


そんな疑問を抱かれるオーナーさんもいらっしゃるかもしれません。


ですが、それは失礼ながらやや古い感覚です。そうした皆さんの多くは、おそらくは90年代くらいより以前に、ご自身の物件を建てられているのではないでしょうか。


実は、若い入居希望者を中心に、最近は上記の「おばあちゃんのお家みたい」なフローリングは人気がありません。


人気があるのは、いわゆるナチュラル系、ヴィンテージ系などとよばれる白っぽいフローリングです。茶系であったとしても、多くはクリーミーな、若干白みがかった色感となっています。ツヤツヤとした表面の光沢は見られないか、あっても抑えられています。ウッディな温もりや、素朴さを感じさせるのが特徴です。


さらには、これらが発する色は概して主張が控えめです。家具や家電をマッチングさせやすくなるところにも、その特徴が見られます。


そこで思えば、「畳は嫌われる。フローリングにさえしておけば安心」が、以前の常識でしたね。


ところがいまは、フローリングにも入居者さんの好みやニーズがさまざまに生じてきています。どういう戦略を練るか、なかなか一筋縄ではいきません。


加えて、畳でもフローリングでもない、第3の床材も、近年急速に種類や品質が充実してきました。


代表的な2つと注目株の1つを挙げましょう。フロアタイル、クッションフロア、そしてカーペット(とりわけタイルカーペット)です。


■フロアタイル

「塩ビタイル」などとも呼ばれます。塩化ビニル製の、タイル状になった床材です。プリント次第であらゆる柄や色が表現できるので、種類が大変豊富です。しかも、カッターひとつで楽にカットできるため、器用なオーナーさんであればDIYも可能です。品質もどんどん上がっています。木目柄のものなど、扱い慣れたプロでなければフローリングとほとんど見分けがつきません。おそらくは「フローリング」の表記で募集広告されてしまっている例がほとんど(笑)でしょう


■クッションフロア

クッションフロアといえば、フローリングの廉価版(?)としてご存知の方も多いはずです。塩化ビニル系のやわらかな素材でできた床用シートです。こちらは触ってみればフローリングとの違いは明白です。ただし、このクッションフロア、近年はフロアタイル同様大変種類が増え、お洒落にもなっていて、築古物件を安くリフォームしたいオーナーさんなどには特に注目されています。「なんちゃってフローリング」とはもう言わせない勢いです。店舗用の丈夫で大胆な柄のものをあえて居室に導入するケースも増えています。


■カーペット(タイルカーペット)

「カーペットの床は不人気」が、過去にはおおむね常識でした。しかし最近は、「人気がこれから上がってくるのでは」と見るプロも多いようです。ホテルライクな雰囲気が醸し出せるほか、ファミリー物件などではなんといっても子どもが物を投げたりしても響かない静粛性が重宝です。タイル状に分割されているタイルカーペットであれば、フロアタイル同様にDIYも容易です。ただし、経年によってどうしても不潔感が生じてしまう床材ですので、入居者が替わるごとの交換とその旨のアピールは必須です。


以上、各床材の特長は、どれも現在敷かれているフローリングに重ね張りができる点です。施工業者に作業を頼む場合は、それによって工程が減り、コストが下がります。


そのため、冒頭にふれた「床のみをわずか10万円そこそこでリニューアル~礼金物件に変えた」オーナーさんも、実はこの重ね張りを行っています。ちなみに、使用したのは流行りのナチュラル柄やヴィンテージ柄ではなく、大胆にもグレーの大理石柄のフロアタイルでした。


なお、それ以前の床はといえば、これも冒頭にふれた「おばあちゃんのお家」仕様でした。そこでどうせならと、思い切りモダンに勝負をかけたかたちです。


さらに、実は本家本元のフローリングでも、いまはカットも楽で、重ね張りもできる薄型の製品などがさまざま販売されています。


すなわち、賃貸住宅の床のイメージチェンジは、近年、とても自由で楽、なおかつ面白いものになってきているのです。


「フロアタイル」「クッションフロア」「タイルカーペット」「DIY」といったキーワードで、どんどんネット検索してみてください。そこで知識をしっかりと仕入れておくと、施工業者への相談もとてもしやすくなります。


(文/朝倉継道 画像/123RF)

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この記事を書いた人

編集部

住まいや賃貸経営に関するニュースを独自の切り口で配信します。

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